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子どもが、『受験で合格しなくても公立に行けるからいいや』と言い出したら?

菅原裕子

子どもが、『受験で合格しなくても公立に行けるからいいや』と言い出したら?

●さぼる言い訳? 未来への不安?

夏休みが終わって、いよいよ受験勉強も落ち着いて取り組みたい時期です。

親としては、子どものやる気を上げたいところですが、まだ夏ののんびりムードから回復しないまま、エンジンがかからないお子さんもいるのではないでしょうか。

あるいは、夏にがんばりすぎて、その疲れがやる気のなさにつながっているかもしれません。

そんな時に、ふと子どもの心をよぎるのは、「なぜ自分はこんなにがんばらなきゃならないの?」という疑問です。

もし、子どもが突然、「受験で合格しなくても公立に行けるからいいや」と言い出したら、あなたはどうしますか?

 

そう言い出す理由は、いくつか考えられます。

まずは、さぼるための言い訳のひとつとして言ってみた、という場合です。

中学受験を目指してがんばっている間には、いろいろなことがあります。

そして、子どものバイオリズムも変化します。

疲れていたり、なかなかやる気になれなかったりした時は、子どももつい言い訳をしてさぼりたくもなるでしょう。

また、子どもによっては、受験に向かって不安を膨らませていることも考えられます。

子どもは、もし合格しなかったらどうなるのかということを想像できません。

想像できない未来に対して、不安はますます膨らみます。

その不安を解消するために、とりあえず見つけた着地点かもしれません。

●親への挑戦的態度の可能性も

ほかにも、親に対する挑戦的態度と受け取ることもできます。

この年頃の子どもは、親への反抗があらわになることがあります。

「勉強しなさい」「そんなことじゃ合格しないわよ」などと言う親に対して、抵抗しているのかも知れません。

確かに合格しなくても、公立中学に行って、高校受験でまたチャレンジできるでしょう。

しかし、それを逃げ道にしてしまうと、思わぬ罠にはまってしまいます。

「合格しなくても公立があるから大丈夫」と考えるうちに、それが安心材料ではなく、最終的に自分をさぼらせてしまう呪文になってしまうのです。

合格を目指している時は、常に合格のために今できることをやろうとします。

ところが、「合格しなくても大丈夫」と思うと、今できることもやろうとしなくなってしまうのです。

常に前向きに、「合格」を目指して前進できるよう親ができることを考えましょう。

●子どもに過度なプレッシャーをかけない

まずは、「親の受験」になっていないかを振り返りましょう。

中学受験は「親子の受験」と言われます。

高校受験の年齢の子どもは、自分で考えて自分で決めたいと思うものですが、中学受験の頃はまだ親の影響力が強く、子どもは親の意向に従って決断します。

親にしてみれば、ある程度は素直に自分の言うことを聞くので、親が主体となって真剣に取り組みがちです。

ところが、親が力を入れすぎると、日々の言動が押し付けになり、子どもにストレスを感じさせてしまう危険があります。

受験は本来、子どもが取り組むべきこと。

勉強するのも受験するのも、子ども自身なのです。

子どものやる気を先取りして、やる気になるべきとプレッシャーをかけないようにしましょう。

●「あなたはきっと合格する」と伝える

また、なるべく普段と変わらない生活を心掛けることも重要です。

受験生として、食事や睡眠など、特別な配慮が必要なことはあります。

一方で、何に対しても特別扱いしすぎると、かえってそれでストレスのもとになることもありえます。

秋に向かって、学校でも行事が増える時期です。

それらに積極的に参加して楽しみ、子どもらしい時を過ごすことも大事でしょう。

受験勉強と並行して、小学生としての営みもおろそかにならないような配慮も必要です。

また、きょうだいや家族との楽しい時間も、受験生にとってはなくてはならない息抜きとなります。

そんなひと時を大切にしたいものです。

 

そしてもし、子どもが「合格しなくても公立に行けるからいいや」と言い出したら。

慌てずに、ドンと受け止めてください。

「そうね、だから心配しなくても大丈夫。でもお母さんは、あなたは合格すると思っているわ!」と返してください。

先にもお伝えしたように、この時期の子どもはまだ親に対して素直なところがあります。

親が確信をもって、「あなたのベストを尽くしてごらんなさい。あなたはきっと合格するから」と伝えることで、子どもの気持ちも安定し、元気を取り戻すことができます。

著者プロフィール

菅原裕子
菅原裕子
すがはらゆうこ

NPO法人ハートフルコミュニケーション代表理事。有限会社ワイズコミュニケーション代表取締役。1977年より、人材開発コンサルタントとして企業の人材育成の仕事に携わり、従来の「教え込む」研修とは違ったインタラクティブな研修を実施。参加者のやる気を引き出し、それを行動に結びつけることで、社員と企業双方の成長に貢献。後に、企業の人育てと自分自身の子育てという2つの「能力開発」の現場での体験をもとに、子どもが自分らしく生きることを援助したい大人のためのプログラム「ハートフルコミュニケーション」を開発。各地の学校やPTA、地方自治体の講演やワークショップでこのプログラムを実施し、好評を得ている。著書に『子どもの心のコーチング』『子どもの「やる気」のコーチング』(以上、PHP文庫)、『子育てが変わる親の心得37』(幻冬舎)等。

公式ホームページ『NPO法人 ハートフルコミュニケーション』


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